バレエとフラメンコなら大人が習うのによいのはどちら?フラメンコ経験のあるバレエオタクがぶっちゃける

みずみず

バレエ歴20年のみずみず(@channmizuu)です。子供の頃にバレエを習い、ブランク期間の学生時代はフラメンコを習っていました。「浮気」です。この浮気経験を皆様にシェアしていきます。

もうすぐ新年度。これを機に「大人から何かダンスを習ってみたい・・・バレエとフラメンコどちらがよいか?」と迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ここ日本は「バレエ大国」でもあり「フラメンコ大国」でもあるそうです。どちらも習う環境は整っているので、お好きなほうをライフスタイルや好みに合わせて選ぶのが一番です。

個人的には、型にはまりたい方はバレエ、アドリブや即興が好きな方はフラメンコ・・・という選び方が一番しっくりくるのではないかと思っています。

両方の経験をもつ人はかなりの少数派なので、私が体を張って経験してきたことを迷っている皆様のために惜しみなくまとめていきたいと思います。どちらを選ぶかの参考になれば嬉しいです。

目次
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バレエとフラメンコの起源を知ろう

バレエみずみず
フラメンコみずみず

バレエとフラメンコは日本人から見れば「ヨーロッパで盛んな舞踊」というカテゴリーに入りそうですが、その起源はまったく異なるものです。具体的に、両者の簡単な歴史を見てみましょう。

バレエ:厳格に型が定められた形式美の芸術

バレエは、ルネッサンス期(15世紀)のイタリアの宮廷内で貴族たちがゆったりとステップを踏む余興ダンスが起源で、貴族の優雅な所作を見せるものでした。

その後はフランスの宮廷や劇場で発展し、バレエ独特の技法が体系化されていきました。

ステップの型がひとつひとつ厳格に定められており、いわゆるクラシックバレエ(およびロマンティックバレエ)においてはアドリブの作品はありません。

オタクであれば、有名な作品の振付は殆どわかります。

19世紀にパリで初演された「パ・ド・カトル」。当時の超人気ダンサー4人を出演させる贅沢な演目として制作

フラメンコ:その場の空気が大事なアドリブありきの芸術

フラメンコは、スペイン南部アンダルシア地方を中心に伝わる民族芸能で、ヒターノ(ジプシー)を中心に継承されてきました。

日本人にとってフラメンコといえば踊りのイメージが強いのですが、起源はカンテ(歌)です。

その歌にギターが加わり、そして人々が音楽に合わせて踊りだした・・・という流れで発展してきました。

こういった経緯から、フラメンコはその場の「ノリ」や「空気」が大切で、アドリブが重視されます。

「フラメンコの母」とも称される曲種「ソレア」。フラメンコの曲種でも非常に重要で「孤独」を表現

バレエとフラメンコを比較してみよう

大人が習うのに気になる事項を比較表としてまとめてみました。

スクロールできます

バレエ

フラメンコ

補足
初期費用安い高いバレエ:動きやすい服装・靴下でOK
 フラメンコ:2~3万円程度の靴が必要
月謝の相場
(週1)
7,000円~10,000円~1バレエ:これまでの経験に基づく
発表会の相場5万円~10万円~経験者にヒアリングした結果。
教室やイベント規模によって異なります
教室の数
(日本国内)
4,2602650件以上3
難易度難しい(比較的)
難しくない
バレエ:舞台に出られるまでに2-3年程度
 フラメンコ:半年程度で舞台に出られる
※筆者の主観。実際は個人差あり
表 バレエとフラメンコの比較表

お金はどれくらいかかるのか?

さて、次は一番気になるお金の項目です!

初期投資はバレエのほうが安い

初心者がまず買わなければならない「初期投資」で必要なものは以下だと考えています。バレエの場合は「初期投資」はかなり低いです。

バレエ:3千円程度のシューズ+動きやすい服装が必要

フラメンコ:2~3万円程度の靴が必要

上達してからかかる費用は?

どちらも上達すると舞台の機会なども増えてくるので、その場合は衣装レンタル費用などお金がかかるようになってきます。これは程度によりますが、どちらも舞台などに出れば出るほどお金がかかります

衣装やシューズなどにこだわればこだわるほどお金がかかります・・・(妥協は必要)

バレエの場合は、男性と二人で組んで踊りたい場合はゲストの男性ダンサーを呼ぶことが多いのですが、その費用がとてつもなくかかります。相手が有名な方だと「50万円」が相場だそうです!

バレエの良さ・難しさ

バレエオタクが考える、趣味としてのバレエの良いところと難しいところを説明します。

バレエの良いところ

初期投資が少なく気軽にはじめやすい

前章でも触れましたが、バレエは初期投資が非常に少なく、気軽に始めることができます。

最初のうちは動きやすい服装に厚手の靴下で十分です。

さらに、日本国内に約4,000件のバレエ教室が存在しているうえ、スポーツクラブが開催するバレエエクササイズやオンラインの講座もあります。

スポーツクラブなどで気軽にはじめてみて、ハマったら専門の教室に通い始める方もいます。

大人が出られる舞台がたくさんある

特に都市部では、大人になってからも発表会やコンクールなど舞台で踊る機会がたくさんあります。

私自身、子供の頃に一人で舞台に出て、好きな踊りを踊らせてもらったことは一度たりともありませんが、大人になってからは何度も一人で舞台に立っています。

しかも、初めて舞台に出たのは30歳を過ぎてから。周りには50歳以上で初めてと言う方もいらっしゃいました。初心者であっても、歳を重ねていても、やる気(とお金)があれば舞台に立つチャンスはたくさんあるのです。

小学生の自分にきかせてたら腰をぬかすでしょう。一人で踊るなんて夢のまた夢でしたから・・・

バレエの難しいところ

大人が上達するには相当の努力が必要

大人から始めた初心者がある程度踊れるようになるまでかなりの時間がかかります。周りを見ていると、2~3年で人前で披露できるようになったら相当早い方だと思います。

つま先立ちのトゥシューズ(ポワント)だってすぐに履けるものではありません。これも初心者が2~3年で履きこなせるようになったら、もはや天才ではないでしょうか・・・。

体型を絞らなければならない

趣味でレッスンを受講しているだけなら体型は関係ありませんが、舞台に出て踊るとなると話は変わります

60kg以上の体重があると、トゥシューズでのつま先立ちが苦しくなり、ケガをしてしまうことも・・・。男性と組むことを目指すのであれば、重すぎると相手の負担になります。

プロのような細さは必要ありませんが、ある程度の体型を保たなければなりません。

ハマるとお金がとてもかかる

バレエはハマるとお金があっという間になくなります。初心者のうちは気軽に習えますが、ハマればハマるほどお金が飛んでいきます。

これはおそらくフラメンコでも同じですが、舞台には出演料がかかります。衣装のレンタルや制作にもお金がかかります。

練習を重ねるとシューズも消耗するので、何足か準備しておかなければなりません。いまやトゥシューズは1足1万円。これを何足も準備しておくわけです。

プロの踊りを見て学ぼうと思ってもプロのバレエ団の公演のチケットは安くて1万円。海外の有名バレエ団だったら3万円なんてこともあります。

さらに、ここからはバレエ特有ですが、男性と組んで二人で踊りたいとき(これを「パドドゥ」と言います)、ゲストダンサーを呼ぶことがあります。男性ダンサーはとても貴重な存在です。とすると・・・謝礼というものが発生しますね?

相手が有名な方だと「50万円」が相場だそうです。

フラメンコの良さ・難しさ

ここからは、バレエオタクが感じたフラメンコの良いところ、難しいところを説明します。

フラメンコの良いところ

大人から始めてもある程度上達できる

フラメンコはバレエよりはハードルが低く、大人から初めてもある程度上達できるように思います。もちろん「簡単」だというつもりはありません。

20歳前後で習い始めた方がプロダンサーに転向する事例を何度か見てきました。これはバレエの世界ではありえないことです。

バレエはどうしても幼少期からの鍛錬が必要な部分があり、大人からはじめてトゥシューズ(ポワント)を履いて一人で踊るまでに相当の努力が必要となります。人前で披露できるレベルに達するまでは個人差がありますが、1年程度だと難しいでしょう。

ふくよかな体型が許される

バレエと比べると、体型への厳しさはそこまでありません。足を露出することもなく、胸が大きくてもOK。むしろ華奢な方は胸を盛っていました。

バレエでも大人の趣味であれば、体型は関係ありませんが、つま先立ちでの踊りや男性と組むことを目指すのであれば、ある程度体重を絞っていく必要があります。

フラメンコの場合、踊りを見ているとふくよかな方のほうが見栄えがするのでは・・・とも思いますが、足打ちなどが足腰に負担がかかるため、太りすぎは厳しいように思います。

生演奏・生歌

趣味レベルのバレエでは絶対に経験できないことですが、フラメンコの場合は基本は生演奏・生歌となります。アマチュアでももちろんそうです。なぜならば、アドリブありきの芸術なのでCDだと難しいですね。

お気づきの方もいるかもしれませんが、舞台をやるたびに生演奏・生歌のコスト(人件費)がかかります。発表会などの費用の大部分は人件費かもしれません。

一方で、バレエでアドリブはご法度。アマチュアや予算の少ないプロではCD音源を用いることが普通です。

フラメンコの難しいところ

リズムが難しい

「12拍子」と聞いてピンときますか?これはフラメンコのベーシックなリズムパターンです。つまり、12拍子を一つの単位として、曲の種類によってアクセントの位置が決まっています。

この独特のリズムパターンを覚えるのか大変です。

これ以上書くとキリがないので、このあたりでおしまいにしますが、日本人にとってはこれに慣れるのが難しいんです。これでも序の口です。

ちょっとメモ:12拍子の代表例(ソレアなど) はアクセント
1 2 4 5 7 8 10 11 12

数年やっても最後までわからなかった・・・(涙)

曲が長い

とにかく長い。長すぎるんです。たいてい1曲5~10分程度あります。見ている方も飽きてしまいそうな長さです。

しかも、上級者だとアドリブで構成が変わってしまうので、終わる時間がもはやわからないなんてことも多々あります。

バレエのソロヴァリエーション(ひとりで踊る曲)であれば、せいぜい1~2分。振付を覚えるのに難儀しました。

掛け声にびっくりする

フラメンコは舞台上の踊り手などを励まし応援する目的で観客などが掛け声をかけることが多々あります。

歌舞伎の大向こうのようなものでしょうか。「成田屋!」「中村屋!」とか叫ぶアレですね。

最もよくある万能な掛け声は「オレ!」で、これを言っておけば無難です。

かの「マツケンサンバII」の「オレ!」を想像してもらえるとわかりやすいかもしれません。

鼓舞してもらうのは嬉しいのですが、バレエをやっていた身からすると踊っている間に掛け声をかけられるのは、慣れるまでびっくりしてしまうんです。ありがたいのですが・・・

まとめ

ここ日本は「バレエ大国」でもあり「フラメンコ大国」でもあるそうです。どちらも習う環境は整っているので、お好きなほうをライフスタイルや好みに合わせて選ぶのが一番です。

個人的には、型にはまりたい方はバレエ、アドリブや即興が好きな方はフラメンコ・・・という選び方が一番しっくりくるのではないかと思っています。

どこの教室も体験レッスンはあるはずなので、まずは体験しに行ってみて「感覚」で決めてみてください。

  1. ANIF日本フラメンコ協会公式サイト www.anif.jp|フラメンコを始めるには?バイレ入門編 ↩︎
  2. 昭和音楽大学「日本のバレエ教育環境の 実態分析」 ↩︎
  3. 多彩な魅力を持つスペイン語文化、フラメンコはその扉です | nippon.com ↩︎
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