ロシア語専攻卒のみずみず(@channmizuu)です。
日本人にとって、ロシアには「バレエ大国」「よくわからない」「怖い」といったイメージがあるかもしれません。今回は、そんなロシアに少し興味が持てるような面白い話を紹介します。
今回のテーマは、ロシアの「つるふさの法則」。
これは、ある人たちの髪の毛量にとある法則を見出すジョークなのですが、いったいどんな法則なのでしょうか。
「つるふさの法則」とは何か
ロシアに伝わる「つるふさの法則」をご存知でしょうか?
1917年のロシア革命を指導し、ソビエト連邦(ソ連)を建国したレーニン以降、ソ連およびロシアの最高指導者は、髪がハゲてつるつるな人→髪がふさふさな人→つるつる→ふさふさ…とハゲとそうでない人が交互に現れる
という嘘のような本当の話です。ロシアでも「Лысый — волосатый(つる─ふさ)」という国民的ジョークとして、いまでも人々に笑いを提供し続けています。
ちなみに、日本では、はげふさ、つるもじゃなどといった表記も見かけます。
さて、こんなネタのような話が嘘だと思った方は、つる枠の現職プーチン大統領の前が誰だったか覚えてますか?ふさ枠のメドベージェフ前大統領です。
歴代の指導者の頭髪を確認してみる
レーニン以降の指導者の頭髪は?
さっそく、レーニン以降の指導者を見てみましょう。私がロシアの市場で買ってきた指導者マトリョーシカを並べて観察します。
左から、
レーニン(つる)→スターリン(ふさ)
→フルシチョフ(つる)→ブレジネフ(ふさ)
→アンドロポフ(つる)→チェルネンコ(ふさ)
→ゴルバチョフ(つる)→エリツィン(ふさ)
→プーチン(つる)→メドベージェフ(ふさ)
もう少し頭髪に注目できるように並べてみます。
現職のプーチン大統領は再選しているため、本来は11番にも該当しますが、ここでは省略しています。
ただし、この法則には1回だけ例外があり、スターリンとフルシチョフの間にマレンコフ(ふさ)がいましたが、在任8日間。これはカウントすべきか悩ましいですね。マトリョーシカにも含まれていません!
プーチン大統領の次は誰?
現職のプーチン大統領の任期は最大で2036年までです。まだあと12年もあるんですね。
したがって、まだ彼の後継者は現れていませんが、次代大統領を予想する時はまず髪の毛に注目してみましょう。つるつるにハゲている人は候補から外してもよいかもしれません。
次はふさ枠のターンなので、女性の可能性もあるかもしれません。法則を打ち破るスーパーつるつるさんが登場するのでしょうか。
政策ではなく、髪の毛に注視していきたいと思います。
頭髪の量によって行く末も占える!
さて、この法則は、頭髪の量で次の権力者を探り当てるもの・・・だけじゃないのです。
頭髪の量によって権力者の行く末も占えてしまうという、さらに嘘くさい法則があります。具体的には、以下の傾向があるとされています。
つる枠
・改革派
・病気や失脚などにより権力を失う
ふさ枠
・保守派
・亡くなるまで長年にわたり権力を持つ
わかりやすい例をみてみよう
この第2の法則が本当なのか、知名度の高い3名で確認していきます。
例①:レーニン(つる枠)
ロシア革命を指導し、1922年に世界初の社会主義国家であるソ連の建国を果たしています。しかし、同年脳卒中で倒れ、1924年に53歳の若さでこの世を去りました。
例②:スターリン(ふさ枠)
レーニンの後を継ぎ、1953年に亡くなるまで約30年にわたりソ連を指導しました。粛清などにより反対勢力を排除し、独裁体制を築きました。
例③:ゴルバチョフ(つる枠)
昨年2022年に亡くなったゴルバチョフ。1985年、50代という異例の若さでソ連のトップとなり、ペレストロイカ(立て直し)など改革を進めましたが、ソ連崩壊に伴い権力を失いました。
その後は、2022年に91歳で亡くなるまで、ロシア国内外で発言力を持ち続け、日本のテレビ番組も含めメディアにもたびたび出演していました。
実はソ連建国前にも当てはまる
これまで「レーニン以降」と記載しましたが、実はソ連建国前のロシア帝国の皇帝の一部およびロシア臨時政府首相にも当てはまっています。
19世紀のニコライ1世(つる枠)以降、この法則が続いています。せっかくなので、肖像画や写真で頭髪の量をしっかり確認してみましょう。
①〜④が皇帝、⑤〜⑥が臨時政府首相で、⑥ケレンスキー(ふさ枠)の後にレーニン(つる枠)が続きます。なんとも見事につるふさが成立していますね。
さいごに
現職のプーチン大統領は「つる枠」です。
第2の法則が当てはまるのであれば、今後「病気や失脚などにより権力を失う」可能性があるのですが、未来のことはだれもわかりませんね。
レーニン「すべての国民が平等なパラダイスのような国を作りてぇ!」
本記事では、ロシア帝国以後の皇帝や指導者を例示していましたが、なかなk馴染みのない方も多いかと思います。そんな方にお勧めなのがこの本。
ロシア史のみに特化したものではありませんが、「わかりやすさを求めたあまり、詳しさと丁寧さを犠牲にした暴書」。ゆえに、非常にわかりやすくロシア史も学ぶことができます。